免許を返納して車の運転をやめたお年寄りが頼るツールの一つが自転車。しかし長野は坂が多い。対策として増えているのが電動アシスト自転車だ。ところが今年になって電動自転車に乗る高齢者の死亡事故が多発している。走行中に転倒して頭を打ったことが致命傷となるケースがほとんどで、いずれもヘルメットの着用はなかった。高齢者にとって坂道らくらくは何よりの利点だが、くれぐれも安全面にはご用心。
「転ばなければ…」
20日午前、長野県青木村の村道で近くに住む吉池敏男さん(75)が電動自転車で走行中に転倒し、道路脇の畑に転落した。吉池さんは自力で帰宅したが、数時間後に意識不明に。午後3時すぎ、頭を強く打ったことによるくも膜下血腫で死亡が確認された。上田署によると、走行中にバランスを崩した可能性がある。
近隣の人たちが電動自転車に乗る吉池さんを見かけるようになったのは今年に入ってから。病気で入院したことをきっかけに車に替わる足にしていたらしい。家から約1キロ離れた日帰り温泉施設に電動自転車で通っており、その時に通るのが現場の村道だった。近所の女性は「いつも違和感なく走っていたけど、ヘルメットはしていなかった。転ばなければまだまだ元気だったのに」と悔やむ。
交通マナーが向上したためか、実は自転車が絡む人身事故自体は年々減少している。昨年までは電動自転車の事故も少なくて、県警によると「2018、19年は死亡事故0件」。それが今年に入って一転した。
27日現在で、電動自転車による死亡事故は5件。一般の自転車死亡事故を含めると6件となり、昨年一年間の3倍に達している。
ほとんどが単独事故で、亡くなったのはいずれも60歳以上の高齢者。転倒して側溝に転落した状態で発見されるケースが目立つ。
死亡事故、増えた理由は
急増の背景には何があるのだろうか。
「電動アシスト自転車を選択す…
980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル